土中埋蔵物のある土地の購入について


昔の建物の基礎が残っていることが判明しました

商業施設の跡地で個人住宅の分譲地(すでに2~3軒の新築ができあがっている)となっている物件について相談です。

建築条件付きの土地で、地下2メートルのところに元スーパーの建造物用の分厚いコンクリートの大きな基礎があるそうです。
そこのハウスメーカー曰く、その基礎は別に3階建て以上のビルを建てたりするなら掘り起こして撤去しないといけないが、個人宅を建造する分には安定度が増し、逆にいいのでそのままにして上に普通に家を建てられるそうです。

 この業者の言うことが本当か(元商業施設の大きな基礎が個人用宅地として弊害がないか)、また将来転売する際に非常に売りにくかったりするかしないか、ご回答頂けましたら幸いです。

土中埋蔵物のある土地の購入について回答

ご相談について、建築士の細谷健一と宅地建物取引士の杉山善昭が回答させていただきます。
【一級建築士回答】
はじめまして、一級建築士の細谷健一です。
悩ましい問題ですね。

元商業施設の基礎とはいえ強度も確認できないようなもの上に建物を建てることは通常ありえません。
隣の分譲地にも基礎が横断している状況を想像しますと、簡単に撤去するということもいえません。
なぜなら、当該敷地だけ元商業施設の基礎を壊したら地中のバランスが崩れ隣接の住宅が不同沈下する可能性があるので
簡単に撤去も出来ないと思います。
瑕疵担保保険においては、基本的には地盤調査報告書が必要となりますので、隣接の新築住宅がどのような形で報告されているか
調べてはいかがでしょうか?
もしかしたら、基礎も含めた地中2m付近でしっかりとした地耐力が出ている報告書があるのかもしれません。
3階建ての場合は、地盤調査報告書の提出は必須となりますので、地盤調査報告書が無い場合は、どのような対応なのか確認された方が
良いでしょう。(将来、売却のことを考えて)

上記の確認を行った上でも心配がありましたら、施工会社とは利害関係の無い地盤調査会社に調査してもらい、そのデーターを
構造一級建築士に見てもらった方が良いです。

文責 一級建築士細谷健一

【宅地建物取引士回答】
せっかくのマイホーム建築がスタートする時に、困った問題が発生しましたね。
さぞかし、ご心労のことと拝察申し上げます
はじめまして、宅地建物取引士の杉山善昭です。

私からは、二点です。

一点目は瑕疵担保責任についてです。
瑕疵とは、簡単に言うと、「その物件が本来持っているべき性能を欠いている状態」の事を言います。

では、今回の瑕疵とは何なのか?
一言でいうと、地下2m地点の元商業施設の基礎が、あなたの建築しようとしている建物の支障になるのか否か?になります。

この判断は、専門家でないと難しいと思いますが、個人住宅の建設ということですから、住宅の品質確保の促進等に関する法律により、建物に関して10年間の保証(不等沈下や雨漏りなど)が義務付けされます。
一般的には、第三者機関の保証を受けるのですが、そのためには、地盤調査や建築工事に関して第三者機関の検査を受けることになっています。

利害関係のない、専門家が検査をし、保証が付くのであれば一応安心して良いのではないかと考えます。

二点目は、宅建業者の調査義務です。
仮に、建築の際に支障がないからと言って、昔の建物の基礎があるのは、気分の良いものではありませんよね。

こちらの物件は、建築条件付きの売地ですから、売主は宅建業者だと思います。

不動産取引に宅建業者が関与する場合、買主に対して重要事項の説明義務があります。

埋設物については、土地を一見して分かるものでなければ、説明義務があるとは、言い切れません。

しかし、元商業施設の跡地ということを、宅建業者は、おそらく知っていたと思われますので、地中埋設物の有無の可能性については、配慮するべきだと思います。

少なくとも、地中埋設物の有無の調査が実施済みか否か。ということは説明すべきだったのではないかと、私は考えます。但し、法律で説明義務が明記されている訳ではありません。

宅建業者の説明に瑕疵があった場合、行政による免許の停止等の処分が下される可能性がある他、あなたに損害があれば、説明義務に応じた、損害賠償責任も発生する事になります。

損害とは、建物を立てる上で、直接的な損害と、将来売却する際に、売却条件が低下することも含まれます。

直接的な損害とは、当該基礎を除去する必要がある場合、その撤去費用などをいいます。

売却価格に関して言えば、商業施設の基礎が、

・一般的に想定される建築物を建てる上で支障がない
その地域、土地の広さでは、通常、二階建てしか建てない、若しくは法規制で2階建てまでしか建たない。

・一般的に想定される建築物を建てる上で支障がある
その地域、土地の広さの場合、三階建て(若しくは三階建て以上)が普通なのか

という要因に左右されます。

以上回答致します。

文責 宅地建物取引士杉山善昭

この記事を書いた専門家

宅地建物取引士杉山善昭
宅地建物取引士杉山善昭高難易度不動産の専門家
(有)ライフステージ代表取締役
「不動産ワクチンいまなぜ必要か?」著者、FMさがみ不動産相談所コメンテーター、TBSひるおび出演、
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