私道を経由して入る土地。自分の持ち分は半分以下どんな問題があるのか?


私道の権利が過半以上になるように同意がいるのでしょうか?

土地を所有していますが、この土地は袋地で進入する為には、二名が所有している私道を通って入ります。
この道の持ち分は、当方が40分の19と過半数には届きません。
住宅の建設等の開発をする場合、この道が唯一の進入道ですが、私の持ち分は過半数に届きませんが、過半数以上の持ち分の地主の同意(許可)は必ず必要ですか?

建築の問題、不動産価値としての問題の二つがあります

宅地建物取引士、建築士の杉山善昭が回答いたします。

このご質問は建物が建築できるか否かという要素と、不動産価値に関する内容が含まれていると思います。

順番に解説していきます。
まずは建築物の建築可否についてです。

建築基準法では、敷地は建築基準法に認める道路に2m以上接する必要がある。と規定されています。
従って、持ち分が過半以上か以下にかかわらず、敷地が道路に2m以上接する必要があります。

この2mというのは、建築基準法上の道に至るまで全ての部分で2m以上の幅員が確保されている必要があります。
建築基準法上の道に至るまでの距離が長い場合は、接道幅が2m以上という規定が更に強化されることがあります(10m以上の場合は3m等)
今回の場合は、ご質問の私道が建築基準法上の道路か否かによって確認する点が異なります。

もし、当該私道が建築基準法の道(位置指定道路、開発道路など)であれば、私道に2m以上敷地が接していれば建築は可能です。

私道が建築基準法上の道路か否かは行政庁で確認を取ることができます。

次に、この私道が建築基準法の道でない場合は、敷地から建築基準法上の道に至るまで、2mの通路を確保する必要があります。

建築認可の可否については以上のようになります。

続いて私道が建築基準法上の道路でない場合における2mの確保についてのお話しをします。

建築の認可申請の際に2mの専用通路を確保する申請を出してる場合、実際に2m確保する必要があります。
つまり、自分専用の通路として2m確保する必要があるということになります。

共有持ち分の不動産は、全体に対して利用できる割合を示しているに過ぎず、使用部分を特定するものではありません。
すなわち、持ち分から計算した接道幅が2mを超えていたとしても、それだけでは不十分ということになります。

従って、建物を建てる為には当該2m以上の通路部分を独占的に利用することに対して、共有者から承諾を得ることが必要があります。
また、その承諾は書面にすることが望ましいです。

最後に不動産価値についてです。

私道が建築基準法上の道路である場合、例え持ち分が10分の1でも特段問題はありません。

建築基準法上の道路でない場合、前述した、私道の共有者の書面による同意が得られたとしても、それは当事者同士の約束事であって善意の第三者に対抗できません。

例えば私道の共有者が承諾のことを黙って第三者に売却してしまった場合、当該私道の承諾書を反故する可能性があるからです。
その不動産が将来、安定的に利用できるか否かにより不動産の価値は変動しますので不安定要素があればある程、価値は低下します。

この問題を解消する為には、
1、土地の使用、通行に関して私道に通行地役権を設定する。
2、私道部分について建築基準法の道路になるように認可を取る
という方法があります。

最後にまとめです。
私道が建築基準法上の道であれば、現状のままで特に問題はありません。
私道が建築基準法上の道でない場合は、建築基準法上の道に至るまで専用の通路を確保することが必要です。

専用の通路を確保するには共有者からの承諾が必要で、書面にすることが望ましいですが、第三者対抗要件がないので地役権を設定するか、若しくは私道全体に対して建築基準法の許可を得ることがベストです。

この記事を書いた専門家

宅地建物取引士杉山善昭
宅地建物取引士杉山善昭高難易度不動産の専門家
(有)ライフステージ代表取締役
「不動産ワクチンいまなぜ必要か?」著者、FMさがみ不動産相談所コメンテーター、TBSひるおび出演、
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