賃貸物件の送金手数料は誰の負担?


賃貸物件の送金手数料は誰が負担するべきなのでしょうか?

毎月払う、家賃の送金したり、口座引き落としする際の手数料は誰が負担すべきお金でしょうか?
家賃意外に、お金がかかることって納得いかないのですが・・・

結論から言うと借主です

賃貸物件を借りる際に必ず発生するのが、家賃ですね。

この家賃は、月払い、年払いなど定期的に借主から貸主に支払をする必要があります。
そして、ほとんどの賃貸契約では買主負担となっています。

あなたの賃貸借契約書の約款にも、送金手数料に関する条文があると思いますので、一度ご覧になってみてください。
賃貸借契約の条文に取り決めがある場合、原則その規定が適用されます。

では、家賃の送金に関する規定がなかった場合、どうなるでしょうか?

債務者が債権者の所へ行き支払いに行くべき債務を「持参債務」といいます。
賃貸借契約は、持参債務になりますので、特段に取り決めがない場合、債務者である借主が、債権者である貸主に持参して支払うことになります。

毎回毎回持参しなければいけないのは、結構大変ですね。
もし、貸主が、銀行振込を認めず、民法の規定通りの支払いだけしか受け付けない場合、借主は悲劇です。

では、少し話を戻しましょう。
もし賃貸借契約書に「家賃は指定口座に送金」する。と記載されていて、送金手数料については、何の取り決めもなかったとしたらどうでしょうか?

「送金手数料がかかるなんて聞いていない!違法だ!」と主張できるでしょうか?
おそらく無理だと思います。
指定口座に送金するという事は、常識的に送金手数料がかかることは誰にでも分かります。
月に何件まで無料。という金融機関も最近出てきましたので、送金手数料がかからない選択肢もあることになります。

別の視点でも考えてみたいと思います。
先ほど家賃は、持参債務と書きましたね。
そもそも、送金手数料は、銀行が受領する費用であって、貸主が受領する金銭ではありません。
更に、家賃の全額が、大家さんの口座に振り込まれて初めて家賃を払ったことになりますから、当然、振込手数料(持参費用)は借主負担となります。

では、更に掘り下げてみたいと思います。
もし、家賃の支払い方法について、賃貸借契約書に何も記載がないにも関わらず、貸主側が契約後に一方的に支払方法を指定した場合どうなるでしょうか?

家賃が持参できるにも関わらず、貸主の銀行口座に振込をすることを強要したり、口座引き落としを強要することです。

結論から言うと、借主はこれに応じる必要はないと考えます。

何故なら、賃貸契約時には、家賃支払い方法については何ら取り決めがなされていませんので、民法の規定通りすれば良いことになるからです。
つまり、貸主の所へ毎回家賃を持っていけば良いわけですから、貸主の要望に応じる必要はありません。

最後に、売買契約時に家賃は、口座振替という記載だけあって、具体的な金額が明記されていない場合の事に触れてみたいと思います。
その口座振替が強制でかつ、銀行振込費用を著しく超過するなら、口座振替手数料について説明義務があると思われます。

宅地建物取引士 杉山善昭

この記事を書いた専門家

宅地建物取引士杉山善昭
宅地建物取引士杉山善昭高難易度不動産の専門家
(有)ライフステージ代表取締役
「不動産ワクチンいまなぜ必要か?」著者、FMさがみ不動産相談所コメンテーター、TBSひるおび出演、
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