行政書士?は司法書士の敵?相続登記で揉める前に知っておくべきこと
今回は、不動産相談協会チャンネルから司法書士の仕事内容や行政書士との違いについて深掘りしてみました。司法書士の役割や登記手続きの種類、行政書士が相続登記の申請書を作成することの是非、そして司法書士の選び方まで、専門家の視点からわかりやすく解説します。不動産や登記に関わる方はぜひ参考にしてください。
司法書士とはどんな仕事?
司法書士の仕事は大きく分けて2つあります。ひとつは裁判所に提出する書類の作成、もうひとつは登記手続きの代行です。裁判所に対しては弁護士が代理人となることが多いですが、簡易裁判所レベルの手続きであれば、司法書士も一定の条件を満たせば代理権を持ちます。
もうひとつの登記手続きは、特に不動産登記が中心です。登記とは、土地や建物の所有権を公的に証明するための手続きであり、不動産売買後の名義変更もこの登記によって確定されます。例えば、Aさんが不動産を買っても登記をしなければ、売主が悪意を持って同じ不動産をBさんに売り、Bさんが登記を済ませてしまうと、法的にはBさんの所有権が優先されてしまうこともあります。これを「対抗要件」といい、登記を備えた人が所有権を主張できるというルールです。
登記は不動産だけでなく、会社の設立や変更などの法人登記も司法書士の重要な仕事です。会社が法的に成立するためには登記が必要であり、これらの公的登録手続きを司法書士が代行しています。
司法書士と行政書士の違い、そして相続登記の問題
司法書士と行政書士は名前が似ていて混同されやすいですが、業務範囲は大きく異なります。行政書士は主に行政機関に提出する書類の作成や代理を行います。例えば、市役所や県庁に提出する許認可申請などがそれに当たります。一方、司法書士は裁判所や法務局に提出する書類の作成・手続きを行う専門家です。
ここで問題になるのが、相続登記の申請書を行政書士が作成して報酬を得る行為です。相続登記は法務局に対して行う手続きで、法律上は司法書士の独占業務とされています。行政書士が本人の代理ではなく申請書作成を代行し報酬を得るのは違法とされ、刑罰の対象となります。
無償で一回だけ手伝う場合は問題ないこともありますが、反復継続的に業務として行うと違法行為となります。これは、例えば建築士が繰り返し業務を行うことで専門業務として成立するのと同様の考え方です。
登記の種類はどれくらいある?
登記には非常に多くの種類がありますが、大きく分けると不動産登記と会社登記の2つが柱です。不動産登記の中でも、売買や相続、贈与などの原因によってさらに細分化されます。司法書士はこれらの登記原因に基づいて登記申請書を作成し、法務局に提出します。
登記申請の際には、契約書や遺産分割協議書などの証明資料が必要です。司法書士が作成する「登記原因証明情報」と呼ばれる書類で、登記の根拠となる事実を明確に示します。
船舶の登記も司法書士が可能?
船舶の登記に関しては、司法書士でも業務範囲内とされていますが、実務経験は少ないとのことです。依頼があまり来ないため、対応したことがない司法書士もいるようです。
司法書士の歴史と名称の変遷
司法書士の前身は「司法代書人」と呼ばれ、裁判所や法務局に提出する書類の代書を主な業務としていました。そのため、かつては「代書」というイメージが強く、昭和の時代には「代書屋さん」という印象もありました。
現在の司法書士は、単なる書類作成にとどまらず、登記の実態を判断しながらコンサルティング的な役割も担っています。名前も「司法代書人」から「司法書士」に変わり、専門性と責任の重さが増しました。
司法書士の選び方と「アカン司法書士」とは?
司法書士の選び方については、どの司法書士に依頼しても登記の完成物に大きな差は出ないことが多いです。売買の登記などは当事者が確定した状態で行われることが多いためです。
しかし、複雑な財産分割や紛争が絡む場合には、複数の提案や解決策を持つ実力派の司法書士を選ぶことが重要です。情報発信や実績をチェックし、自分に合った司法書士を探しましょう。
逆に「アカン司法書士」とは、最低限の手続きをこなすだけで、コミュニケーションが取れない人や依頼者の話を聞かない人を指します。これはどの仕事でも同じですが、信頼できる司法書士を選ぶための重要なポイントです。
まとめ
司法書士は不動産や会社の登記、裁判所に提出する書類作成といった重要な業務を担う専門職です。行政書士とは業務範囲が異なり、特に相続登記は司法書士の独占業務とされています。登記の種類は多岐にわたり、専門的な知識と経験が求められます。
司法書士を選ぶ際は、単に料金だけで判断せず、コミュニケーションや提案力に優れた信頼できる専門家を選びましょう。今回の内容が司法書士の仕事理解に役立てば幸いです。
不動産や登記に関するご質問があれば、専門家への相談も検討してみてください。正しい知識と専門家のサポートが、安心できる不動産取引や相続手続きにつながります。


