共有不動産の売買。適性価格調査

兄弟や姉妹と共有している不動産。

◎売却したい派と保有したい派で揉めている
◎誰が利用するかで揉めている
◎兄妹と意見がぶつかり何もできない

共有の土地でお困りではないでしょうか?
中にはビルを相続して、兄妹、姉妹間で意見が合わず、入居者の募集もままならない事もあるようです。

「共有で所有する」という部分に根本的な問題があることは、言うまでもありません。

そもそも「共有」という状態はとりあえず的な要素が多く含まれており、例えば「相続税の申告の為に、とりあえず共有登記をした。」というケース。よく目にします。

「とりあえず。」という状態が短い時間で解消できれば、結構なことなのですが殆どのケースで共有状態が数年、数十年続いてしまいます。

さて、この共有状態を解消するためにはいくつか方法があります。

一つ目は、相続をするときに、相続人が一人になるように他の相続人はその不動産の権利を放棄する方法です。
相続財産を全て放棄する場合もあれば、ある不動産については権利をもらわない代りに他の不動産の権利を相続する。というものも含まれます。
しかし、この方法は基本的に相続が発生した時でないと使えません。

二つ目は、全部を売却して換金し、お金で分配する。という方法です。
一番分かりやすい方法ですが、共有者の全員の同意がなければ売却することは出来ません。

共有物の解消はなかなか大変なことですね。
この二つの方法が取れない場合、諦めるしかないのでしょうか?

共有不動産を解消する三つ目の方法とは?

「他の共有者に自分の権利(持分)を売却する」という方法です。
共有者のうち誰か一人が、他の権利を全て買い取ってしまえば、共有状態は解消されます。

確かに良いアイディアですが、一つ問題があります。
「いくらで買取るか?」という大きな問題です。

売却する立場に立ってみれば、少しでも高く売りたい。ですし、
購入する立場に立ってみれば、少しでも安く買いたいですよね。

ここで注意することが一つあります。
不動産の売買価格は当事者同士で自由に決めることができますが、安易に決めてしまうと後で後悔する事になるかも知れないのです。

後で後悔する可能性のあることとは?

親族間売買は贈与税の危険が伴います

下の図をご覧下さい。
親族間売買の危険性

相場を100するとしましょう。60で売買してしまうと、本来100で売却できる不動産を60で売却ですから残りの40は売主から買主へ贈与したものと判断されてしまいます。
逆に、相場が60のものを、100で売却した場合、買主は本来60で購入できるものを100支払うので、買主から売主へ40の贈与をしたものと判断されてしまいます。

ではどうすれば、贈与税の心配が無くなるのでしょうか?

適性な価格での売買をすることが最も効果的です

もうお分かりですね。相場が100なら100で売買することが最も自然で、最良の解決策です。

しかし、別の問題が出てきますね。一体相場は誰が決めるのか?

不動産屋さんでしょうか?
違います。相場は消費者が決めている生き物です。従って「これが正解」というものを見つけることは困難なのです。税務署は相続、贈与(対価の発生するるもの)は時価で計算する。と決めていますから。

そこで使われるのは、相続税の計算をする際に使う「路線価」です。
しかし、路線価は市場価格から乖離していることも珍しくはなく、あまり現実的ではありません。更に共有不動産は、共有者の一人が単独で使うことが出来ない、特殊な不動産ですから、その価値も簡単に算出することは困難です。

更に、全体の価格が100で、各自の持分が2分の1だからと言って、50で売買しては別の問題が発生します。
共有持分の価格は、必ずしも 全体価格に共有持分を乗じた価格になるとは限りません。
なぜならば、共有持分には、相応の市場性減価が発生する場合が多いからです。例えば、
あなたが、どなたかの一軒家の共有持分だけを特別な理由もなく買う場合があるでしょうか?
適正な時価とは、原則として第三者にも通用する価格で、鑑定の用語では、正常価格が前提となるからです。

不動産の適性価格を見出す専門家

共有不動産の価格を見出すことが、いかに難しいかご理解いただけたでしょうか?

しかし、安心してください。不動産の適正価格を算出する専門家がいるのです。
不動産価格の専門家、それは不動産鑑定士という専門家です。
その名の通り、特定の不動産を鑑定する専門家で、ニュースなどで地価公示という言葉などを聞いたことがあると思います。

不動産鑑定士はどんなに複雑な不動産でも、適性価格を算出することができます。不動産鑑定士が作成した、不動産鑑定書は裁判でも使われることがある程しっかりしたもので共有物の買取の価格検討には最良の評価書です。

また、不動産鑑定士が作成する不動産鑑定書は利害関係のない第三者が作成するものですから、他の共有者の理解も得られやすいばかりではなく、買取資金を銀行から融資してもらう際にもお役に立つものです。

この記事を書いた専門家

不動産鑑定士塚田貴洋
不動産鑑定士塚田貴洋
株式会社みなと鑑定代表取締役
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