事故物件の告知義務


いつまで入居者に告知をする必要があるのでしょうか?

メッセージ:アパートの一室で自殺者が発生しました。
2~3ヶ月は業者が倉庫として利用した後に再度、賃貸物件として募集する際には事故物件としての告知義務が必要でしょうか?

告知義務がないと考える理由がありません

宅地建物取引士、建築士の杉山善昭が回答いたします。
結論から申し上げますが、告知義務はあります。

例え一度誰かが入居、使用したとしてもです。

こういった問題が発生した場合、大家はなるべく不利なことを言いたくないお気持ちになることは理解できます。
実際、自殺があったお部屋の賃料が安くなることを理由に、損害賠償を求めた裁判でも入居者が入れ替わった後までの損害は認められないという判例もあります。

しかし、損害賠償が認められなかったのであって、告知義務がなくなるわけではありません。

一般的に、自殺等の事故があった物件と、全く事故がない物件では賃貸可能な家賃に差が出ます。

何故、賃料に差が付くのかというと事故があった物件は嫌悪する人が多いからに他なりません。
逆の立ち場で思考すればすぐに分かる話ですが、入居した後に事故物件だったと聞いたらどうでしょうか?

入居前に知り得れば、賃貸するのを止めることや賃料の交渉をする余地があります。
不利な事実を隠して賃貸に出すということは、信義上も許されることではありません。

事実を事実として賃貸に出す。これが自然です。
その上で借りるか借りないかは借り手の自由なのですから。

不動産の実務上は、知っている限りずっと告知をします。
従って例え10年以上経過したとしても、●●年●月に自殺がありました。という説明をします。

昨年自殺があった部屋と20年前に自殺があった部屋。
同じ自殺であっても、印象が違うのが分かると思います。

不動産投資をするということは、事故物件になってしまうというリスクもあるのです。
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この記事を書いた専門家

宅地建物取引士杉山善昭
宅地建物取引士杉山善昭高難易度不動産の専門家
(有)ライフステージ代表取締役
「不動産ワクチンいまなぜ必要か?」著者、FMさがみ不動産相談所コメンテーター、TBSひるおび出演、
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