登記で面積が分かるのに測量をする必要があるのでしょうか?


投資用アパートを売却する際の測量について

収益用でアパート1棟不動産を所有しています。
先日、買いたいと打診があったのですが、査定のため寸法測量したいので承認して欲しいとのこと。

値段によっては売っても良いのですが、寸法測量ってどんなことをするのかわからないですし、何かデメリットはないでしょうか?
そもそもこの手の段取りは通常のものなのでしょうか?

状況によりますが、トラブルを避けるために必要です

土地家屋調査士からの回答

この度は、当協会へご相談いただきましてありがとうござます。
ご質問内容への回答は、土地家屋調査士の花上康一があたらせていただきます。

 対象不動産は収益物件である1棟アパートとのことですので、その価格算定には、年間賃料収入と還元利回りで求められる収益還元法
が多く用いられます。この手法を用いる場合は、土地の面積や寸法は影響しないのですが、その他の手法である原価積算法や取引事例比較法を用いる場合は、土地の面積が価格算定要素となるため影響してきます。おそらく「査定のため」とのことなので、複数の手法を用いて価格を算出するものと考えられます。
 一方、近年土地取引においては「土地境界の設置及び隣接地権者との境界確認」が必須になっている契約が多く見受けられます。この場合の一般的な流れとしては、
1.仮測量(現地境界標や構造物を測量して実測面積を算出したり越境物の有無を確認)
2.売買契約
3.境界確定(隣接地権者と境界立会いを行い境界標を設置)
4.決済(代金授受・所有権移転登記)
となります。

おそらくご質問の「寸法測量」は1の仮測量に当たるものと思われます。
よって、ご質問の回答としましては
・寸法測量とは ⇒ 現地境界標や構造物を測量して実測面積を算出したり越境物の有無を確認する測量。
・デメリットは ⇒ 現状の把握をするための測量の為、デメリットはないと考えられる。
・段取りは通常か ⇒ 近年の不動産取引においては一般的である。
となります。

宅建士杉山善昭からの回答

花上土地家屋調査士の回答に補足をいたします。

不動産売買において、敷地境界がどこにあるのか?という点は確認事項の一つでもあります。
何故なら、
●売買契約を締結した後に登記面積と実際の測量面積に差があることが判明した。
●隣地の建築物などが、自分の土地に越境していた、またはその逆
●水道下水などの埋設管が敷地外を通っていた

などというトラブルを未然に予防することは取引において重要であるからです。
その為にご提案いただいているものと推測されます。

結論を申せば仮測量をかけることは、実務上よくあることです。

但し、登記されている地積測量図があり且つ、その作成日が近年のものであり、現地にも図面の通り境界石が見える状態である場合、改めて仮測量をする意味は薄れます。

また、仮測量を実施する必要があったとしても、その費用が過分でないことも抑えておきたいポイントです。

仮測量は、以上の点にご留意いただき実施していただけると間違い無いと思います。