質問:大規模修繕工事により賃貸マンションでウェブ会議できない

現在分譲マンションの1室を区分所有者から賃貸で借りています。
大規模修繕工事についてのご相談です。

数日前、ポスト投函されていたお知らせに「来月から4ヶ月間(月曜〜土曜日)大規模修繕を行う。足場を作る過程など、騒音が大きく生じるため在宅勤務やWEB会議は難しくなるので予め了承ください」と明記されていました。

私は3月に入居したばかりで、在宅ワークができる物件という軸で物件探しをし、契約した経由があります。
分譲管理会社、お部屋の管理会社の両方とも私が在宅勤務だということはご存知です。
工事の日程がはっきりと決まっていなくとも、数ヶ月前から打診くらいはしていただいてもよかったと思います。そしたら私も引っ越しを検討するのかなどの対処はできました。

しかし、1ヶ月を切っての、突然の告知に寝耳に水の状態で、とてもじゃないけど納得できません。
家で仕事できないから宜しくと一方的に言われても、それは職を失ってもいいということなんでしょうか。食べてもいけなくなるし、賃料も払えなくなります。

今から引っ越しを考えられるような猶予すらありませんし、なにせ3月に越してきたばかりなので金銭的にも無理です。

私の中の合点の着地点として、
・工事期間の4ヶ月間×(土日は目を瞑るので月〜金の)週5日分の賃料をフリーレントとしていただく
もしくは
・ホテルなど個室の施設を利用する場所代4ヶ月間×週5日分
の保証をしていただなければ最低限納得できません。

ホテルや個室の施設にしても、探すのにも時間がかかりますしとても手間なのでフリーレントなど対応いただいたとしても正直納得できないくらいです。

この場合の交渉する手順として、
1:まず分譲管理会社に「昨年度の総会の時点で、次回の総会(つまり今年度の総会)で大規模修繕の決議を取るかどうかの話はあったのではないのか」「今回の大規模工事の話自体はいつころから話に出ていたのか」を聞く
2:1の回答次第になるが、もし私の入居前(2021年3月より前)に話が既に出ていたなら、部屋の管理会社の調査不足或いは説明不足に責任があると言える?
3:工事の話題が総会で出たのが、私の入居前・入居後に関わらず、「4ヶ月間のフリーレントないしは場所代の負担」の保証を、部屋の現管理会社を介してオーナーに要求する
4:現段階では工事も始まっていないんだから実害がないのだから要求する権限がないと言われた場合には、工事の日に外に出ずに騒音測定器を使い騒音のする日時様子などをメモで記録を取り、在宅勤務ができない状況だということを可視化する
5:記録をもとに再度要求する
6:それでもオーナーに要求を飲んでもらえなければ、記録をもとに少額訴訟する

以上のようなフローでいいのでしょうか?

先に取れる情報はしっかり聞いておいて、(向こう様同士で口裏合わせられたりしたくないため)
少しでも要求を飲んでもらえる可能性を上げたいです。

アドバイスのご教示をどうぞ宜しくお願いいたします。

回答

①本件では,賃貸借契約を締結する動機として,

「在宅勤務やWEB会議を行うのに支障がない物件を探していた」

旨が明確にオーナーや仲介会社に表示されていたこと

②オーナーや仲介会社が,

賃貸借契約時点で,大規模修繕がなされること,及び,開始時期を知っていたこと

③大規模修繕工事によって,

在宅勤務やWEB会議を行うのに支障が生ずること

が少なくとも必要であると考えられます。

もちろん,①②③いずれについても,証拠が必要となります。

そういう意味では,ご相談者の

1:賃貸借契約に①の動機が記載されていたか確認

2:確認できない場合には,①の動機のもと賃貸借契約を締結した事実を,

仲介会社に確認して録取する。

3:分譲管理会社に②の事実を確認する。

4:②の事実を仲介会社に確認して録取する。

以上,有力な証拠を入手できた場合には,

5:「4ヶ月間のフリーレントないしは場所代の負担」を賃貸人もしくは仲介会社に

請求する。

という手順でよろしいかと思われます。

フリーレント等を求めるとして,4か月が妥当かどうかは直ちに結論を出せませんが,

大規模修繕工事期間に相当する期間は請求したとしても明らかな過大請求とまでは

いえないと思われます。

なお,上記③については,ポストに投函されていたお知らせに,同様の趣旨が記載

されているとのことですので,このお知らせを一応の証拠とすることができるのではない

でしょうか。

以上となりますので,ご参考くださいませ。

髙瀬総合法律事務所 弁護士高瀬芳明