共有名義の土地の売却は分割して売却するのは不可能ですか

共有名義の土地の売却は分割して売却したいのですが

不動産業者の対応についてのご相談です。
母と共有名義の土地を売却することになり、先日何社かの不動産業者に査定をお願いしました。
大手A社は「ある程度の大きさがあるので半分に分割して買い手さん2人に売ったほうがいいのでは」というお話でした。
一方大手B社の担当者は「分割して販売することは出来ないので、この大きさのまま売りに出しましょう」と言います。

本当に分割して販売することはできないのでしょうか?
私が調べたかぎり、そのような内容が書かれている文面はどこにも見当たらず、B社が自分達に都合がいいように話しを進めようとしているような気がしてなりません。
このままB社の言葉を鵜呑みにして売却する方向に進めていいものか悩んでおります。
(母はこのB社と話をすすめたいようです)

個人が分割販売は違法ですが・・・

はじめまして、宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスターの杉山です。
複数の不動産会社から違うことを言われると不安になりますよね。

今回は私から回答いたします。

宅地建物取引業法 第二条1項二号
宅地建物取引業とは、宅地若しくは建物(建物の一部を含む。以下同じ。)の売買若しくは交換又は宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の代理若しくは媒介をする行為で業として行うものをいう。

という規定があります。
「業」としてという部分がポイントなのですが、何をもって「業」とするのは一般の方の感覚とは少し違います。

こちらについては、「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」(以下、運用指針という)に記載がされています。
※この文章を知らない、不動産会社さんも多いので、注意が必要です。

今回の場合は、一般消費者向けに敷地を分割で販売する点が問題になります。
敷地を分けて販売する行為は、①利益の増加②反復継続して販売という二つの要素が含まれています。

敷地を二つに分割して売却すると、一般的に一括で売却するよりも高い単価で売れるため、利益の増加が見込まれます。
また、反復継続という点に関しては、「1回の販売行為として行われるものであっても、区画割りして行う宅地の販売等複数の者に対して行われるものは反復継続的な取引に該当する。」と、運用指針に明記されています。

媒介した不動産会社も、無免許販売の幇助と判断されることになります。

以上のことから、共有地を分割して、それぞれを売却する行為は、宅地建物業法違反になります。

では、所有されている不動産は、一括で売るしかないのか?というとそんなことはありません。

共有地ですから、それぞれの持ち分割合に応じて敷地を分割する。という方法があります。
※Aさんの持ち分が10分の9、Bさんの持ち分が10分の1というような場合は使えません。

敷地を分割して、それぞれ単独名義にするのです。

単独名義になれば、別々の不動産ですから、売却する時期も別々にできますし、仮に同じ時期に販売しても所有者が違いますから反復継続要素はないものと思慮します。

但し、敷地を二分割にするということは、ライフライン(上下水道、ガス)をもう一件分必要となりますから、当該工事を行ったとしても、分割メリットがあるのか?という点に注意が必要です。

不動産相談協会では、こういったケースの売却において、売却見込み価格、必要経費(手数料、上下水道工事費、測量費など)、それぞれの売却案について、シュミレーションと実業務のご依頼についてプロデュースすることが可能です。
必要でしたら、改めてご相談ください。

この記事を書いた専門家

宅地建物取引士杉山善昭
宅地建物取引士杉山善昭高難易度不動産の専門家
(有)ライフステージ代表取締役
「不動産ワクチンいまなぜ必要か?」著者、FMさがみ不動産相談所コメンテーター、TBSひるおび出演、
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