おじいちゃんの相続で母親と利益相反した孫!?

私が依頼を受けた相続の案件で珍しいものがありましたのでご紹介します。

おじいちゃんが亡くなった時、孫が養子になっていました。
しかし、その後遺産分割協議をする前におばあちゃんと養子縁組を離縁しました。
そしてこの度、遺産分割協議をすることになり、私のところに依頼がありました。

このお孫さん、現在は離縁していますが、相続開始時(おじいちゃん死亡の時)には養子だったので、今でもおじいちゃんの相続人であることに変わりはありません。
そして、この子は未成年ですので遺産分割協議については親権者が代理することになります。
ですが、おじいちゃんの娘である、この子のお母さんも当然おじいちゃんの相続人。
子供と親権者が相続人同士ですので、これは典型的な利益相反事例です。
たまたま、この子の親権者はお母さんだけでしたので、特別代理人を選任することになりました。

養子になっていない孫は母親が生きている限り、おじいちゃんの相続にはなりませんので、おじいちゃんの相続で母親と孫が利益相反になることはありません。
養子になっている孫については、母親は親権者ではありませんので、母親が遺産分割協議の代理人にはならず、母親と孫が利益相反になることはありません。

ですので、おじいちゃんの相続で母親と孫が利益相反すると聞くと、普通は「どういうこと?」となります。
この案件では、孫が未成年であり、親権者が母親だけだったこと、さらに上記2つの条件をクリアしたことにより、おじいちゃんの相続で母親と孫が利益相反するというややこしい状況になりました。

相続は奥が深い?

 

司法書士・行政書士 酒井昌直

 
酒井 司法書士・行政書士 事務所